大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和29(あ)891 決定

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人裾分正重の上告趣意は判例違反をいうが、引用の判例は衣類を寸借名義の

下に騙取したとの詐欺の公訴に対し訴因変更の手続を経ることなく、借用中の衣類

を着つぶし横領したと認定処断した場合に関するものであつて本件に適切ではない。

すなわち記録によれば所論公訴事実の記載は被告人が法定の除外事由がないのに昭

和二七年一〇月下旬頃前後四回に亘りAから各粳精米五升を五五〇円宛で買受けた

という趣旨たること明白であつて、刑訴二五六条三項にいわゆる「できる限り日時、

場所及び方法を以て罪となるべき事実を特定して」訴因を明示しているものという

ことができる。そして第一審判決は右公訴事実をこれに吻合する売主Aの供述調書

の記載を援用して認定しているのであるから、(同判決添付別表第四の4、5、6、

7の記載参照)この点に関する原判決の説示は首肯することができる。要するに所

論は単なる訴訟法違反の主張を出でないものであつて刑訴四〇五条の上告理由に当

らない。また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお

り決定する。

昭和二九年七月一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 岩 松 三 郎

裁判官 真 野 毅

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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